「曽根崎心中」に、つい…

　忠臣蔵の四十七士から直前で離脱して生き延びた赤穂浪士の武士としての生き様を描く物語の雰囲気で始まる。
　でもその後、その生き残りの１人と彼の養女との間の恋愛が浄瑠璃の「曽根崎心中」と共に描かれ、心中へとつながることを予感させる。
　でもさらにその後、娘と商人との縁談の方に重心が移っていく。
　結局は、登場人物が強い想いを貫く物語とは違う展開だったのだが、それでもなお予想の範囲内の話だったのは残念。
　予想の範囲内であっても、せめて途中でもっとしみじみさせたりハラハラさせたりする盛り上がりや見せ場があれば良かったのに。
　「曽根崎心中」が使われていたことで、変に期待しちゃったのが間違いかな？
　それに、秘密をひた隠しにしていたはずなのに、あんな大勢に知れ渡ったりするのは、筋としてユルくないか？